
鷺沼駅前地区再開発の計画が見直しなりました。今回は計画が1年先送りになったことで鷺沼の地価はどのように変化するのか、鷺沼周辺に住まいの方、これから移住を検討される方にとっての関心事になっていると思います。
今回はそうした鷺沼の地価と再開発の関係について考察したいと思います。
尚、鷺沼再開発見直しについては前回記事を見てください。
最新計画
この記事の内容
再開発は地域の地価上昇につながる
再開発された地域周辺の地価は上昇するとされています。
地価上昇の要因として挙げられるのは以下の3点。
1. 商業施設の充実
再開発の主目的は街の利便性向上や活性を図るための高度利用であり、特に商業施設が充実することが計画されます。
再開発が発表されると集客が見込まれるエリアとなり、再開発前から不動産売買が盛んになり、土地の需要が高まると地価上昇につながっていきます。
2. 人の集合
再開発に期待する人々が、商業施設をはじめとした街の利便性を求めて移住を求めるようになり、商業施設同様、土地の供給量が減ってくると地価は上昇していきます。
3. 街の高級化
これは不動産デベロッパの仕掛けになりますが、一部のマンションや戸建ての高級路線化が進むことで、“手の届きにくい高級なエリア”という印象が作り出されます。
少々高くても住みたいという方が不動産取得していくことで、エリア全体の販売実績の平均を上げることとなり、結果、地価を押し上げる要因となります。
タワーマンション効果
鷺沼再開発の舵取り組織として東急と川崎市で鷺沼駅前地区再開発準備組合を運営していますが、市民説明会の一幕で、説明会参加者の中から、
「なぜ、再開発するのにタワーマンションが必要なのか?」という問いに東急の担当者は「タワーマンションが立つと沿線の価値が上がる」と答えていました。
鷺沼にタワーマンションを建てる意図は地価上昇を狙ったものであることが伺えます。
東急による再開発事例
東急の沿線価値を上げる戦略のうち、二子玉川・南町田・渋谷はその成功事例となりました。
東急リバブルのサイトには再開発後にどのように路線価に影響があったかの情報が掲載されていました。
二子玉川再開発
平成27年4月に竣工。駅周辺から連なる商業、ビジネス、レジデンス、公園、景観の融和した事例。路線価は平成27年度から上昇を続け、令和2年度には最大22%上昇しています。

東急電鉄としても近年最大のプロジェクトとして現在も開発が続いている駅周辺複合開発プロジェクトの「二子玉川ライズ」の成功により、二子玉川駅の利用者数はここ10年で約30%増加し、新たに大きな人の流れが生まれています。
出典:路線価の動向と変動要因は?東急田園都市線 二子玉川駅 周辺
南町田再開発
令和元年11月開業。南町田北口駅前、グランベリーモール、鶴間公園を一体化させ、まちの魅力向上を目指した再開発事例。二子玉川ほどではありませんが、平成29年度の底打ちから反転して最大16%路線価が上昇しています。

閉館後に減少していた乗降者数も、グランベリーパーク開業時の2019年度には前年比132.7%の乗降者数となり、人の流れは大幅に増加しました。
出典:路線価の動向と変動要因は?東急田園都市線 南町田 周辺
以上のように、再開発によって商業施設が充実し、人が集まり、街が高級化することが地価上昇につながるということは東急の事例でも語られています。
それでは本題の鷺沼の地価は再開発によって上昇しているのでしょうか?
鷺沼の地価は上昇している
鷺沼再開発のニュース発信されたのが5年前の平成28年こと。この当時の地価を確認したところそれほど大きな幅の上昇はなかったと記憶しています。改めて平成28年から令和2年の公示価を調べてみることにしました。
鷺沼再開発ニュース発信後
平成28年の再開発ニュース後、1m2あたりの公示価格は上昇傾向に推移しています。令和2年までで9.2%上昇となっています。

もともと鷺沼は移住先として人気傾向にあり、過去5年前から人口は増え続けていましたので、この上昇のすべてが再開発の影響とはいえませんが、少なくとも不動産販売する上で再開発があることの魅力は語られてきたはずなので、巡って地価に影響したと考えてよいと思います。
鷺沼で地価が上昇しているエリア
では実際鷺沼のどのエリアが地価上昇傾向にあるのでしょうか。国土交通省が開示している公示価格では、小台1丁目周辺が断トツの価格・上昇率になっています。そして、土橋3丁目・4丁目が続きます。
順位 | エリア | 駅距離 | 1m2あたり | 1坪あたり | 年間上昇率 |
1位 | 川崎市宮前区小台1丁目18番7外 | 鷺沼駅より0m | 99万0000 円/m2 | 327万2727 円/坪 | +3.02 % |
2位 | 川崎市宮前区土橋4丁目3番6 | 鷺沼駅より800m | 41万1000 円/m2 | 135万8677 円/坪 | +0.00 % |
3位 | 川崎市宮前区土橋3丁目20番9 | 鷺沼駅より550m | 39万4000 円/m2 | 130万2479 円/坪 | +0.00 % |
4位 | 川崎市宮前区鷺沼2丁目2番13 | 鷺沼駅より800m | 36万0000 円/m2 | 119万0082 円/坪 | +0.00 % |
5位 | 川崎市宮前区有馬1-15-15 | 鷺沼駅より800m | 33万5000 円/m2 | 110万7438 円/坪 | +0.00 % |
小台1丁目は古くから地主が多く、土地面積が広大で1物件あたりの価格の価値も高い点が特徴です。最近では高価格帯の新築マンションも立ち始めています。
また上位エリア共通の特徴として、大手企業の帰国子女の受け入れを積極に行っている土橋小学校や、神奈川県内の公立中学校でも教育水準の高い、宮前平中学校の学区であることが人気を集めているようです。
鷺沼地価上昇エリアのマンション価値は高い
つづいて、このエリアのマンション価格を見ると新築だけでなく、中古マンションの価格が値崩れしていないことがわかります。下記にあげるマンションは20年近く経過したマンションですが、新築当初の価格同等以上で取引されているようです。20年以上前の物件が5000万円超とは驚きです。
マンション名 | エリア | 新築年 | 沖式中古時価70m2換算 |
ドレッセ鷺沼 | 小台1丁目 | 2003年分譲 | 5,460万円 |
東急ドエルファーレ鷺沼 | 小台1丁目 | 1999年分譲 | 5,180万円 |
鷺沼ガーデンハウス | 土橋3丁目 | 1996年分譲 | 5,180万円 |
イトーピア鷺沼グランフォート | 鷺沼3丁目 | 1997年分譲 | 5,250万円 |
まとめ
今回は鷺沼の地価について考察してきましたが、そもそも再開発で地価は上昇するということ。また東急電鉄は二子玉川、南町田でそれらの実績を作ってきました。鷺沼も例外ではなく、再開発ニュースによって地価上昇の一途を辿っています。再開発は1年先送りとなりましたが、この流れでいくと、今後1年の間にさらなる地価上昇を続けることが予想され、計画が先になったからここで下向きにならないことは間違いないでしょう。
地価が上がることは悪いことはでないかもしれませんが、周辺住民からすると再開発によって、より住みよい暮らしができることを願うばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございます!